昭和49年、19床でスタートした下関カマチ病院から36年。カマチグループは病院12、学校6を運営する医療法人として成長してきました。これからの1年間は回復期のリハビリテーションにも一層、力を入れ、今後、首都圏で10〜20の回復期医療施設を新設し、高齢化社会の医療に携わる者としてスタッフ一同、最善の努力を続けます。
Q:いつも医療の最前線を疾走しているように見受けられますが
蒲池 下関カマチ病院を開院したときから「厚生省(当時)の政策を10年先取りして動かね
ば」と考えてきました。当時、救急対応していたのは当院と久留米の聖マリア病院くらいで、普通に治療をすれば助かる患者さんが手遅れで亡くなっていました。国内で事故に遭えば、ベトナム戦争の戦場よりも死亡率が高かったのです。小倉に小文字病院を開院し、よその病院が受け付けない患者さんを、うちの技術と医学知識で治療し、全体をレベルアップさせてきました。福岡、北九州の医療現場から「タライ
回し」を無くしたのです。
Q:医療搬送用ヘリコプター「ホワイトバード」も活躍していますね
蒲池 24時間365日体制のER救急センターは十分に機能しています。救急はスピードが勝負です。地上を救急車で時間をかけるよりヘリで拠点病院に搬送し、ICUで治療を 受けることで救命率は上がります。医師や看護師、パイロットや整備士が常駐し、救
急に備えています。
Q:ユニークな施策で話題になっている武雄市の樋渡啓祐市長。長年、赤字だった武雄市民病院も巨樹の会が運営を始めてから順調なようですね
蒲池 市民の健康や生活改善に熱心な樋渡市長さんと一緒に、病院のお手伝いをさせていただきました。市民の皆さまにも喜ばれているようです。現在、新しい病院を建設中で平成23年には竣工します。急性期や回復期と合わせて135床の規模になる予定です。
Q:首都圏に5つの病院があり、うち4つは回復期リハビリテーション病院ですね。
蒲池 誰もが高齢化して行きます。将来は医療費のほとんどが老人医療に占められることは明白です。日本の年間医療費は約35兆円で、ほかに高齢者の介護費が10兆円かかってます。国は医療費抑制に力を注いでおり、10年先を読んで対応できない医療機関は今後、脱落していくでしょう。そこで、この先、10年で首都圏に10〜20の回復期施設を展開し、そこでの地域医療に尽くしたいと考えます。
Q:リハビリテーション重視はいつごろから
蒲池 下関で救命医療に励んでいたとき、当時18歳の若いセラピスト山崎嘉忠君が就職してきました。当時は早期のリハビリはいけないとされていました。しかし、彼が手術後の患者さんにリハビリを施すと、何もリハビリをしない患者さんと予後が違っていました。あきらめていた患者さんもその様子を見て、生きる希望が湧き、リハビリに向うようになったのです。
Q:だから多くのPT、OTを育成されているのですか
蒲池 急性期病院の医師は患者さんの生命を救うことに全力を傾けます。一方、患者さんからすれば命が救われた後は、健康だったころの「日常生活動作(ADL)」の回復を考えます。歩行、食事、衣服の着脱や排泄、入浴などの動作です。救命がADL回復のスタートで、診断がついた時点からリハビリが始まります。後遺症が発生した患者さんでも3ヶ月から半年リハビリを受けることで約8割はADLレベルが回復し家庭に戻れるようになります。
しかし看護師、PT、OTや言語聴覚士(ST)はまだまだ不足がちで、6つの専修学校で育成を続けています。
Q:今後は首都圏でも池友会イズムを発揮ですか
蒲池 病院の運営はオーケストラの演奏によくたとえられます。ヴァイオリンやフルートなど実に32種類もの楽器が指揮者のタクトの元で最高の演奏を聴かせます。病院も医師だけでなく看護師や薬剤師、技師、訓練士、事務、厨房、清掃など全職種が責任を果たしてこそ全体のハーモニーが生まれ、最高の医療現場となります。私は今後も「手には技術、頭には知識、患者さまには愛を。」をテーマに命を懸けて進みます。
基本は、救急救命です。レベルアップを進行したい。それを支えるリハビリです。
医療法人財団池友会創設者、初代理事長
社会医療法人財団池友会理事長、カマチグループ会長
昭和15年4月14日、福岡県八女郡黒木町生まれ。
蒲池家は江戸中期から8代続いた医師の家系で、蒲池真澄で9代目となる。
昭和34年 福岡県立修猷館高校卒業、昭和40年 九州大学医学部卒業。東京虎ノ門病院でインターン(1年間)、九大大学院医学研究科、下関市立中央病院、福岡大学医学部に勤務。
昭和49年に今日の池友会グループの礎となった下関カマチ病院を開院し独立、救急医療に取り組む。昭和53年に蒲池真澄個人の寄付行為によって【医療法人財団池友会】を設立。
昭和56年に北九州市に小文字病院を開設、続いて昭和62年に福岡市東区に福岡和白病院を開設した。現在までにグループ病院を含めて全国に12病院と6つの学校(職員約4400人)を擁する。現在は、基本の救急救命の池友会イズムを保ちつつ、首都圏で回復期リハビリテーション病院を展開し、急性期から在宅医療に至るまで幅広く尽力を注いでいる。
※池友会とは・・・池友会の【池】は、蒲池真澄の「池」であり、【友】はその周りに集まった人々を意味する。
昭和49年(蒲池真澄33歳) | 下関カマチ医院(19床、後に79床) 開院。13人のスタッフでスタート。 当時不毛であった救急医療に取り組む。 昭和58年 下関第一病院と改称。 ※現・下関リハビリテーション病院(165床) |
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昭和53年(蒲池37歳) | 寄付行為を行い、特定医療法人財団 池友会を創設。 蒲池真澄 理事長に就任。 |
昭和56年(蒲池41歳) | 小文字病院(83床)開院 ※現・新小文字病院(229床) |
昭和62年(蒲池47歳) | 和白病院(186床)開院 ※現・福岡和白病院(369床) |
平成5年(蒲池53歳) |
蒲池真澄 医療法人財団池友会 理事長を退任。 鶴崎直邦 理事長に就任。 |
平成10年(蒲池58歳) | 新行橋病院(149床) 開院 ※現在246床 和白病院を福岡和白病院に改称 |
平成15年(蒲池63歳) | 福岡新水巻病院(212床) 開院 香椎丘リハビリテーション病院(120床) 開院 福岡和白病院を個人病院から池友会へ寄付行為の変更 |
平成16年(蒲池64歳) | 下関第一病院を下関リハビリテーション病院と改称(165床) 福岡和白PET画像診断クリニック 開院 |
平成17年(蒲池64歳) | 福岡和白病院 新築(11F建て・ヘリポートを装備) 博修会 福岡和白総合健診クリニック 開院 |
平成18年(蒲池66歳) | 八千代リハビリテーション病院(83床) 開院 |
平成20年(蒲池68歳) | 小文字病院を新病院へと移転し、新小文字病院と改称(229床) |
平成21年(蒲池69歳) | 鶴崎直邦 医療法人財団池友会 理事長を退任。 伊藤翼 理事長に就任。 所沢明生病院(42床) 開院 |
平成22年(蒲池70歳) | 社会医療法人財団池友会へ名称変更 新武雄病院(135床、内:回復期42床) 開院 新上三川病院(209床、内:回復期171床) 開院 明生リハビリテーション病院(回復期111床) 開院 みどり野リハビリテーション病院(回復期102床) 開院 |
平成23年(蒲池71歳) |
蒲田リハビリテーション病院(回復期168床) 開院 誠十字病院(50床) 開院 宇都宮リハビリテーション病院 開院 |
平成24年(蒲池72歳) |
伊藤翼 社会医療法人財団池友会 理事長を退任。
蒲池真澄 理事長に就任。 小金井リハビリテーション病院(回復期220床) 開院 |
平成25年(蒲池73歳) | 赤羽リハビリテーション病院(回復期165床) 開院 |
平成26年(蒲池74歳) |
松戸リハビリテーション病院(回復期120床) 開院 千葉みなとリハビリテーション病院(回復期120床) 開院 |
平成27年(蒲池75歳) |
原宿リハビリテーション病院(回復期303床) 開院 五反田リハビリテーション病院(回復期240床) 開院 |
平成28年(蒲池75歳) | 新久喜総合病院(300床) 開院 |
現在に至る | (総ベッド数3,800床以上) |
平成2年に福岡看護専門学校を開設し「人間愛」と「自己実現」を教育理念に、地域医療に貢献できる看護師の育成に力を注いできました。その卒業生は、専門的な知識と豊かな人間性を持った看護師として各地の医療の第一線で活躍しております。
近年、急速な少子・高齢社会の進展や疾病構造の変化等により、疾病予防とともにリハビリテーションの重要性が増大しています。
高齢者や障害者を支援する、より質の高い多くの専門職が求められており、その中核を担う理学療法士・作業療法士・看護師の果たす役割がますます重要になってきています。
当法人では、こうした社会的要請にこたえるため理学療法士・作業療法士・看護師の養成施設を展開しています。
平成2年4月 | 学校法人福岡保健学院 福岡看護専門学校(3年過程)開校 |
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平成4年4月 | 福岡看護専門学校2年過程(夜間定時制修業年限3年)新設 |
平成16年4月 | 小倉リハビリテーション学院 (PT・OT)開校 下関リハビリテーション学院 (PT・OT)開校 八千代リハビリテーション学院 (PT・OT)開校 福岡看護専門学校 2年過程(通信制)を新設 |
平成19年4月 | 福岡和白リハビリテーション学院開校 (PT・OT) |
平成20年4月 | 福岡看護専門学校 水巻校 開校 (昼間) |
平成22年4月 | 下関リハビリテーション学院に看護学科を新設 下関看護リハビリテーション学院へ |
平成23年4月 | 武雄看護リハビリテーション学院開校予定 福岡看護専門学校水巻校に助産学科を新設予定、福岡水巻看護助産学校へ改称 みずまき助産院ひだまりの家を開院 |